4.3.11. Lite Version
Lite Version
Lite Versionはフルブラウザにある機能で、PatchやMultiを読み込む際の柔軟性を高め、利用可能なメモリリソースを管理するのに役立ちます。素早い読み込みや試聴に特に便利です。
Lite Versionボタンを有効にすると、PatchやMultiで読み込まれるサンプル数を減らす、つまり「間引く」こと(訳注:1サウンドあたりのサンプルの量を少なくすること)ができます。
このボタンを有効にすると、Lite Version Options Zoomの間引き設定が適用されます。
この機能は、サテライト機器(KeyscapeやTrilianなど)をOmnisphereに読み込むときに特に便利です。これらのサウンドの多くは非常に大きくなる可能性があり、数千のサンプルが含まれていて、サイズが2ギガバイトを超えるものもあります。これらは利用可能なメモリに大きな要求を課し、読み込みに時間がかかる可能性があります。
ここで適用されるすべての間引きオプションは、ソング、Patch、Multiと共に保存され、次回読み込むときに呼び出されます。ただし、ホストソングを保存するか、OmnisphereのPatchやMultiを保存するまでは何も保存されません。
ヒント:Lite Versionが有効になっていない場合でも、Omnisphereのサウンドは聞こえますし、すぐに試聴することができます。 Omnisphereのプログレッシブロード機能では、最初のサンプルが読み込まれるとすぐにサウンドを再生して聞くことができるため、音楽に早くアクセスすることができます。
メモ:ブラウザを閉じると、Lite Versionボタンはデフォルトの無効状態にリセットされます。有効のままにしておくには、Lite Version Options Zoomで「Keep Lite Version Selected」オプションを選択します。
Lite Version Options Zoomウィンドウ
Lite Versionのズームアイコンを選択すると、いくつかの間引きオプションにアクセスすることができます。 ズームウィンドウの上部には、現在の仮想メモリの使用状況を示すメモリメーターがあります。
メモ:Systemページでメモリ制限を設定した場合、このゲージには選択した制限に対するメモリ使用量が表示されます。
Round Robin
Soundsourceによっては、ゾーンごとに多数のラウンドロビンサンプルが含まれることがあり、Soundsourceのサイズが大幅に増加することがあります。 このオプションを使用すると、PatchやMultiとともに読み込まれるラウンドロビンサンプルの数を制御することができます。
多くの場合、ラウンドロビンを「At most 2 RRs(最大で2 RR)」に減らすことで、ラウンドロビンが提供するよりリアルな雰囲気を犠牲にすることなく、かなりのメモリを節約できます。 「No RR(RRなし)」を選択すると、PatchやMultiでラウンドロビンサンプルはロードされず、「No Limit(制限なし)」を選択すると、使用可能なラウンドロビンサンプルすべてが読み込まれます。
Velocities
Soundsourceによっては、キーボードの範囲全体の多くの領域にわたってマッピングされた、ベロシティによって切り替わる多数のサンプルが含まれる場合があります。この設定では、PatchやMultiに読み込まれる、ベロシティによって切り替わるサンプルの数を減らすためのさまざまなオプションを提供します。ベロシティの間引きを適用するには、ドロップダウンメニューのオプションから選択します。
- No Limit(制限なし)
ベロシティによって切り替わるサンプルを全て読み込みます。
- Every other(1つおき)
ベロシティによって切り替わるサンプルを1つおきに読み込みます。
- Every third(3つおき)
ベロシティによって切り替わるサンプルを3つおきに読み込みます。
- Every fourth(4つおき)
ベロシティによって切り替わるサンプルを4つおきに読み込みます。
- Velocities above(上のベロシティ)
このメニューから64などの値を選択すると、64以上のベロシティにマッピングされた、ベロシティによって切り替わるサンプルのみが読み込まれます。
- Velocities below(下のベロシティ)
このメニューから100などの値を選択すると、100以下のベロシティにマッピングされた、ベロシティによって切り替わるサンプルのみが読み込まれます。
メモ:ベロシティを間引くと、音に隙間ができなくなります。残りのベロシティによって切り替わるサンプルは、ベロシティの全範囲でトリガーされるように調整されます。
Legato
このオプションは、レガートのSoundsourceが読み込まれるかどうかを決定します。
「No limit(制限なし)」を選択すると、レガートのSoundsourceが読み込まれます。 「None」を選択すると、レガートのSoundsourceは読み込まれません。
メモ:Omnisphereサウンドには現在レガートのSoundsourceは含まれていません。 ただし、OmnisphereにKeyscapeやTrilianのサウンドを読み込む場合、この機能は全体的なメモリ管理にとって非常に重要になります。
Pitch Thinning
OmnisphereのPatchやMultiには、キーボードの全範囲にわたってマッピングされた多数のサンプルを含めることができます。 ピッチ間引きを使用すると、「トレーニングされた」演奏済みノートの範囲や選択したスケールやインターバルに合わせて、読み込むサンプルを制限することができます。 ピッチ間引きを使用すると、PatchやMultiで読み込むサンプルの数を大幅に減らすことができます。
トレーニングされたピッチ間引き
トレーニングされたピッチ間引きでは、演奏中に使用されたサンプルのみを読み込むことができます。
たとえば、C2からC4までの限られた範囲のノートを持つメロディックフレーズを作成している場合は、トレーニングされたピッチ間引きを使用して、読み込み時間を短縮することができます。 これは、その範囲で使用されているサンプルのみを読み込むことによってメモリ使用量を削減します。
Omnisphereパートをソングに録音していて、読み込み時間を短縮してメモリを節約したい場合は、ホストDAWでMIDIクリップを再生することで、トレーニングされたピッチ間引きを適用することができます。 そうすると、Omnisphereは実際のフレーズで使用されているサンプルのみを読み込みます。
トレーニングされたピッチ間引きを使用するには、Begin Trainingボタンを選択します。 ある範囲の音符を演奏(またはホストDAWでMIDIクリップを再生)してから、Finish Trainingボタンを選択します。 これで読み込むサンプルをトレーニング中に演奏されたノートに制限します。
スケールインターバルを用いたピッチ間引き
読み込まれるサンプルを特定のスケールやインターバルに制限するには、Pitch Thinningドロップダウンメニューを選択し、利用可能なサブメニューからオプションを選択します。 メジャースケールやマイナースケール、あるいはさまざまなインターバルから選択することができます。
メモ:読み込むサンプルは制限されていますが、キーボードに「サイレントゾーン」が表示されることはありません。 残りのゾーンはサンプルマップ全体に広がっているので、すべてのノートは再生されます。
メモ:Lite Version ZoomのPitch Thinningオプションは、Soundsource ZoomのEdit(Thin)ビューのものと同じです。 ただし、Lite Version機能はPatchやMulti全体に影響しますが、Soundsource Zoomのオプションは個々のSoundsourceにのみ影響します。 Patchの各レイヤーに異なる間引きオプションを適用する場合は、Soundsource ZoomのEdit(Thin)ビューを使用します。
Lite Versionのデフォルト設定
Lite Versionのデフォルト設定は、素早い読み込みや完全なサウンドの簡単な試聴に役立ちます。 Lite Versionは、サンプル間引きを適用し、全キーボード範囲にサウンドを読み込み、読み込み後はすぐに演奏することができます。
Lite Versionがデフォルト設定で有効になっていると、次の設定が有効になります。
- Round Robin(ラウンドロビン):No RR samples(RRサンプルなし)。 ラウンドロビンサンプルは読み込まれません。
- Velocities(ベロシティ):above 65(65以上)。ベロシティが65以上にマッピングされたベロシティ切り替えサンプルのみが読み込まれます。
- Legato(レガート):None(なし)。 Legatoサンプルは読み込まれません。
Keep Lite Version Selectedボタン
フルブラウザを閉じると、Lite Versionボタンはデフォルトの無効状態にリセットされます。 このオプションを有効にすると、フルブラウザのLite Versionボタンは、閉じた後も有効のままになります。 Lite Versionボタンのデフォルトの状態を「有効」に変更すると考えてください。
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☆留意事項☆
当記事内容はSpectrasonics社が提供するOmnisphereリファレンスマニュアルを非公式に日本語訳したものです。全ての権利はSpectrasonics社に帰属します。
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